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さくらの雲*スカアレットの恋感想(ネタバレあり)

9月25日発売のアダルトゲーム「さくらの雲*スカアレットの恋」をクリアしたので感想を書こうと思う。

この記事には本作さくらの雲*スカアレットの恋とブランド前作アメイジング・グレイスのネタバレがあります。

私は本作のシナリオライターである冬茜トム氏の作品は「もののあはれは彩の頃。」「アメイジング・グレイス」そして、今作「さくらの雲*スカアレットの恋」の3作品をプレイしています。今作も前2作がとても面白かったため発表当初より期待していました。実際にプレイしてみて、その期待に見事に応えてくれました。私が思うに冬茜トム氏の特色の一つとして伏線回収の鮮やかさが挙げられると思います。ギャグのような描写や日常会話から伏線を張っておき、一度それを回収したと思わせて、それはミスリードであり実際は別の意味を持たせていたという事があります。練られた伏線回収によって一気に作品の根幹をガラッと変えてしまうその手腕にはいつも驚かされます。

前述した通り今作はミステリー物として、とても面白いものとなっている。

もののあはれは彩の頃。」「アメイジング・グレイス」と比べても、テキストは読みやすいしバランス良くまとまっている秀作だと思う。

冬茜トム氏はシナリオや伏線回収に特化している分、キャラの描写が弱かったり日常描写が薄かったりという印象が今まであり、キャラがシナリオ展開のためだけに作られている駒ではないかと思う事もあったが、今作はシナリオ自体の文量も多いし、章仕立てということでキャラゲーと言えるほどキャラ描写の積み重ねが出来ていたと思う。

氏の作品はループ物が多かったように感じ、本作にもそのような要素はあるが厳密にはループ物ではない。アララギから見ればループ物であろうが、主人公の司から見ればそうではない。それぞれの枝にいた司がアララギに電報を託し、別の枝にいる司に伝える。本作のルートシナリオ同士の連続性はそれだけである。なので、ループ物独特の今までのシナリオを全部背負った情念だったり、切実さ、物語を積み重ねてきて黒幕を打倒したカタルシスみたいなのは薄いように感じた。

またラストの展開は縁を結んだ者達で黒幕を打倒するということで、もののあはれは彩の頃に近いように感じましたが、ここでは前述した「キャラがシナリオ展開のためだけに作られている駒」のように少し感じてしまった。この演出自体は熱いものがありますが、あまりにも物語の収束に直結していたためそれぞれの特技や家柄だったりがこのために設定されていたんだなぁと思ってしまいますし、黒幕の幕切れもアッサリしすぎでは?もう少し燃える展開だった方が良かったかな~と思いました。

エピローグやエンディングはとても良かったと思います。私はエンディングで各キャラの生きた道程を描かれる演出がとても好きなのでニッコリしてしまいましたし、100年越しの所長からの手紙のシーンはグッときました。

後、本作とアメイジング・グレイスの関係性も明らかになったのも良かったですね。今作のサブキャラである真霧影虎が北海道へ行き公園を作った。そして前作ヒロインの中に同じ苗字の「真霧言葉」がいるということで、こう繋がるんだなとなりました。

確かに髪色や髪型は似ていますし、北海道というワードが作中に出てきた時点で勘の良い人は気づくのでしょうが、アメイジング・グレイスをプレイしたのが2年前ということもあり、コトハの苗字は忘却の彼方だったため気付いたのは大分後の事でした。

本作をプレイして冬茜トム氏は期待を裏切らないなということを再確認したため、気が早いですが、次回作も楽しみです。