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天穂のサクナヒメ感想(ネタバレあり)

天穂のサクナヒメは同人ゲームサークルえーでるわいすが開発しマーベラスより2020年11月12日に発売されました。

とても本格的な稲作が体験できるということで話題になり、テレビにも取り上げられるなどのハネ方をしたゲームです。

自分は発売当初から購入していましたが、意外なほどにあるボリュームや、他のゲームに手を出していたりなどでクリアに二か月近くたってしまいました。プレイ時間は25時間程度。サブイベントは全て回収しましたが無限ダンジョンやミニゲームには手を出していないですし、他の人はもっとかかっているみたいなので自分は短い方だと思います。

自分はどちらかというと2Dアクションゲームや、こういった作物のシミュレーションゲームは苦手な方なのですが、それでもクリアまで楽しくプレイ出来たのには、キャラクター・シナリオ・音楽などの要素がかなり高い水準だったからだと思います。

プレイしていて感じた良かった点ともう少しだった点を挙げていきたいと思います。(ネタバレ注意です)

良かった点

・魅力的なキャラクター

プレイヤーとサクナヒメの心情がリンクしており、プレイ最初は背景のよく分からないキャラクターたちと、一緒に共同生活をすることになり少し愛着が湧きづらい部分もあったが、苦労しながら米を作り、それぞれが徐々に成長していく様子を見て、このキャラたちは大切な家族なんだなと感じた。何年も一緒にいる中で信頼関係が生まれていく、その点で終盤のサクナヒメの行動や心情に説得力が生まれていた。また、声優の演技が素晴らしかったと思う。特にサクナヒメ役の大空直美さんが的確にサクナヒメの心情を表現されていたのもキャラ造形に深みを与えていたと思う。ただ今でも十分サブイベント等の数は多いが、もっと何でもないような日常イベントがあれば、よりキャラクターを掘り下げられたかなと思う。

・王道のストーリーと噛み合ったシステム

天穂のサクナヒメのストーリーは王道のダメダメだった人が徐々に成長していくビルドゥングスロマンだが、奇を衒わない王道で、とても丁寧に描かれていたのが好印象だった。捻りの効いたストーリーも大好きだが、それぞれゲームの色に合う合わないがあるため、サクナヒメは王道で良かったと思う。

また、ストーリーの展開として序盤に稲作について何も知らないサクナヒメがいきなり放り出されるところから、試行錯誤で米を作っていく部分や、終盤で一回火山の噴火により田んぼが駄目になってしまってからの再生など、プレイヤーが蓄えた経験をうまくストーリーに組みこんであり、その部分でストーリーテリングが上手いと考えさせられた。また演出も良く、みんなで歌を歌って田植えをするところや、終盤の祭のシーン、エンディングなどツボを押さえており、グッときました。

もう少しだった点

UIやシステムの使いにくさ

メニュー画面の左右の変遷が左右のボタンではなく、LRじゃないと出来ない点や、拠点に戻ると毎回坂を上って家に行かなければならない点、田植え時のカメラワークの悪さ、羽衣アクションの細かい方向調整が難しい点など細かい不満点は色々とあるのですが、それがあまり気にならない程度には気に入ったゲームになりました。稲作も慣れてくると流れ作業になってきがちですが、徐々に新しいアイテムが増えて飽きづらいようになっているのも、飽きてくる頃にちょうどクリア出来るのも個人的には良かったと思います。

今作は潔く稲作シミュレーションと2Dアクションに絞ってゲームが製作されており、ゲーム全体が煩雑になることを防いでいたり、その2つがゲーム内でかなり密接に関わっていることから、どちらかがおざなりになったりせず上手いバランスだったと思います。ストーリーも先が気になるものでありゲームへのモチベーションを牽引してくれました。開発に5年半かけたという事もあり、全ての水準がレベルの高いものだったと思います。日本人に大切な米と、逆に意外と知られていない米作りを題材にしたのも良かったと思います。えーでるわいすの次回作にも期待したいです。