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劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト感想

さっそく劇場版レヴュースタァライトの6月4日の初日初回上映に行ってきました。そこから2日経ち、昨日は観たフォロワーと話し合って、ある程度自分の中で整理がついたのでブログに書き残したい。初めに一つ、とんでもない傑作でした。

この記事は劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトのネタバレを含みます。まだ見てない人は鑑賞してから見てください。後色々と書いてますが一回しか見ていない人間が書いている事なので誤読の可能性も非常に高いです。

 

 

劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライトこりゃぁとんでもない傑作でした。令和の中でもトップクラスに素晴らしく、鑑賞直後はあまりの衝撃に席から立つことができませんでした。ストーリーの大筋はかなりシンプルで高校三年生になり、これからの進路はどうするか、友人との関係はどうなるのかということなのですが、手を替え品を替えた素晴らしい演出の数々により唯一無二の作品になっています。

今作の重要なモチーフであるトマトの意味は①舞台少女の糧であること、②イタリア語で黄金のリンゴというように、エデンの園の知恵の実との同一視。知恵の実(トマト)を食べたということは失楽園(聖翔音楽学園を卒業する)を表しているのではないか。③そしてトマトが潰れたり、食べて口の端から血のように流れていることからも分かるように血と肉のメタファーであり、舞台少女として生きるために必要不可欠な心臓を表している=舞台に上がるということなのではないかということが1回見た時点で思う事です。そしてキリンはそのまんま今回の劇場版はパンフレットにあるように、テレビアニメ版当初には想定になかったということで、ファンの応援のおかげでこぎつけたということからも、キリンは私たち観客であり、もっとレヴュースタァライトを見せてくれというある種の残酷さも孕みつつ、アルチンボルドの絵画のような全身野菜の演出は舞台少女の糧であり、燃える燃料であるということを表していると思います。

また列車のレール=進路というのは結構ありがちな演出かなと思うのですが、実際に序盤で99期生電車に乗り込んだ時の、さすがにこの展開は外さないだろ‥‥と思いつつ、緊張感は凄まじいものがありました。

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この電車内で新国立第一歌劇団に進む三人を左に配置して、右にフランスに帰るクロディーヌ・進学希望の俯いている純那・特に離れた位置の実家に帰る香子を配置し、座る位置で進路を暗示しているのもただ上手い。

華恋が101期生を学校案内しつつ、99期生の進路相談と実際の学校案内で動いている場面を挟み、最後に華恋が作中作とリンクしながらひかりへの「友よ」というシーンは、冒頭のシークエンスとしてキャラの成長を描きつつ単調にならずに不穏さも伺わせて構成が上手いと思いました。

ここからは各レヴューに沿って感想を書きたいと思います。

皆殺しのレヴュー

自分は公開前のブログ記事でも書いてたように大場ななさんが推しなのですが、マジでこのレヴューには震え上がりましたね。外連味の効いた演出と大場ななさんの強さを再確認させられました。テレビシリーズでは再演では最強だが、実際にはシナリオの構成上ひかり・華恋に負けていましたが、何度も再演を繰り返してきた彼女は6対1でもあっさり勝ってしまうほど相当に強い。戦いでの強さはイコール舞台少女としての強さだと思うのですが、それだと他キャラは今まで演劇に小さいことから触れて経験を積んできたにも関わらず、中学ではまともに演劇部で活動をせず自分の才能一本で聖翔に合格し、何度も再演が出来るほどに勝ち続けられる彼女の異常性が際立ちます。最初は一刀流で戦い、並走している列車から脇差が射出されて受け取って二刀流になる、この演出が嫌いなオタクいる?いやいない(反語法)。何より再演を望んでいた彼女が、1年前と比べて腑抜けて死んで停滞している99期生に再生産のための発破をかけるためにワイルドスクリーンバロックを起こしたというのが、彼女の成長を思わせて良いですよね。「強いお酒を飲んだみたい」というのは"舞台のセリフ"だから続きを言って欲しいと思っていたのに純那が私たち未成年だと言ったり、血のりでメチャビビったりと常在戦場ならぬ、常在舞台に反することばかりだったので大場ななさんは相当失望したことでしょう。ただその中でも真矢前掛けを落とされておらず毅然と立っており、彼女の格を伺わせました。


怨みのレヴュー

石動双葉と花柳香子のレヴューです。この二人のレヴューということでテレビアニメ版6話約束のレヴューの再演のようにも思うのですが、約束のレヴューは二人が対等になるためのレヴューであったのに対して、今回は更に将来二人で並び立つための別れが題材になっていました。今まで聖翔に通う限り衝突はあったとしても繋がりは切れなかったのですが、全く違う進路に向かう以上約束のレヴューの頃とは比べ物にならないほどの重い別れです。自分のしていることはしょうもないと分かりつつも、納得は出来ない香子の気持ちがありありと伝わってきます。このレヴューはコロコロと舞台が変わり分かりづらい部分があり、デコトラの演出は最初はいまいちピンと来ていなかったのですが、今日の朝、車という物は道路(これも進路・将来のモチーフとしてよく使われますよね)を走る以上、基本的に並走は出来ず同じ車線を行くならその車の前後に着くしかないし、対向車線ならすれ違うしかない、二車線以上だったとしても必ずいつかは道が分かれてしまうというのを香子・双葉の関係性に例えているのかなと思いました。


競演のレヴュー

神楽ひかりと露崎まひるのレヴュー。華恋を通しての関係性が強い二人のレヴューです。自分はそもそもアニメ版5話でまひるとオーディションをするのはひかりだと思っていたので、いつかはこの二人が戦うシーンが見たいなと思っていましたが、ここで叶えられました。ここではひかりが華恋の眩しさにファンになってしまうことを恐れ逃げてしまった事が描かれ、まひるがそれに発破をかけるような形です。ひかりの好きなミスターホワイトとまひるの好きなスズダルキャットは同じ作品のライバル同士という設定があるようですが、それにふさわしくライバルとして華恋の元に送り出すのはフェアプレイに溢れていました。後演技だと言ってたけど、ほんとぉ?まひるさん8~9割マジだったように思います。


狩りのレヴュー

星見純那と大場ななが好きな俺はこのレヴューを見て死んだ。こんなんオタクの妄想じゃん。冒頭で夢を叶えるために実家にも帰らず我武者羅に努力を続けてきた純那が演技から離れるということで観客に疑問を持たせておいて、このレヴューでばななに指摘させる。自分を救ってもらい、眩しく輝いていた純那がくすんで腐っていくのを見ていられなかったばななは、介錯してあげるから切腹しろという。これは純那が文学少女であるということから割腹自殺した三島由紀夫をモチーフの一つにしているのかなと思いました。そして舞台少女のきらめきそのものである武器の翡翠を割るということは、舞台から降りろということだと考えられる。武器自体が彼女らのきらめきなので、他キャラと違い矢じりしか輝いていない彼女は大きいハンデを背負っており、今まではそれを努力・技術や引用した言葉で補強していましたが、それではダメということでばななが過去形で見切りを付けたところで、純那がばななから渡されていた刀に自らの翡翠を付けて己を再生産して立ち向かう。これはばななに背中を押されて前を向いたということと、他人の言葉を引用していた彼女が、自分の砕けた翡翠をななの刀に付けるということは他人の言葉を自分の言葉に噛み砕いて話せるようになったということであり、今まで遠距離の攻撃だった彼女が刀で切り結ぶということは、初めて素の自分でぶつかっていったという事だと思いました。

大場ななは再演を繰り返したこともあり他キャラには絶大なメタ視点を持って勝つことが出来るのですが、その分ひかりのように初見だったり、華恋・今回の純那のように成長するキャラには対応出来ないのかなと思ったり。大場ななが二刀流なのは、俳優と裏方の二刀流だからだと思いますが、純那との戦いで一本で戦うことにより彼女も俳優としてやっていく覚悟を決めたのかなと思います。二人の「泣いちゃった」の対比も良いですし、「なな」「純那ちゃん」と呼び合っていた二人が最後フルネームで呼び合うのも良い。クロディーヌからも分かるように相手をフルネームを呼ぶということは、対等でライバルな事の現れなので、おお‥‥もう‥‥。またねで別れた二人が将来成長して再開するのを待っています(涙)


魂のレヴュー

天堂真矢と西條クロディーヌのレヴューです。レヴューが始まる前の動物将棋で示唆されていた通り、今回はクロディーヌが勝負を制します。自分アニメ以外の媒体に触れていないので分からないのですが、天堂真矢って演技において神の器、役柄を最大限生かすための空虚な器になろうとしていましたっけ。でも真矢がそう言った時クロディーヌと一緒にスクリーンの前でツッコミをいれてしまいました。お前にそんな事出来る訳ないだろと。舞台装置だった真矢の鳥の像が燃えて溶けるシーンは不死鳥を連想させ、自分を再生産することにかかってくるのだと思います。最初は二人とも役に入って演技をしていますが、徐々に本来の自分をさらけ出していく。そんな本来の真矢のことを一番かわいいと呼ぶ。そして真矢はいつだって私はかわいいと答える。最後二人寄り添って私たちは共に堕ちてゆく炎と言う。またこの二人自分達だけの世界でいちゃついてる‥‥。そもそもこの二人は他の99期生と違い、自分の進路に迷っていないんですよね。だからレヴューを通して葛藤を描くというよりは、進路を違える二人の決起集会のような様相が目立つレヴューだったかなと思います。


最後のセリフ

この一連のシーン本当に素晴らしすぎる。まずそれぞれのレヴューの間に華恋の回想が描かれます。パンフレットに乗っていたように、テレビアニメ版では舞台装置になりがちだった華恋を再度丁寧に描くことにより、他のキャラの過去も連想させつつ後の展開の布石になっています。ひかりと二人でスタァライトしたいという夢を持っていた華恋がひかりが離れてしまうことにより、自分の行き先が分からなくなってしまい、進路希望も空白で自分の位置さえ分からない荒野に取り残されてしまう。終盤ひかりの元に辿り着く華恋ですが、トマトを食べたひかりとは対照的に、足元にあるトマトに全く気が付かない華恋。上記したようにトマトは今作では=舞台少女であることと描かれているため、トマトに気付かない華恋はひかりから観客について指摘され、舞台に上がっていないということで一回は舞台から落とされてしまいます。しかしそこから、幼児期・小学校・中学校の頃の思い出を燃やして、燃料にして再生産し再度ひかりの元に辿り着き、最後のセリフ「負けたくない」と口にする。もうこのセリフを聞いた瞬間にそれまでも目頭が熱くなっていましたが、涙がドバッーーーー!!ですよ。進む道は違えども生涯のライバルとして認め合った二人。それぞれが今後進んでいく道は輝いている。そして99期生の前掛けが鳥のように飛んでいるのは、聖翔音楽学園を卒業するということと、これからの未来を鳥のように自分の力で飛んでいくという演出かなと思います。

そしてエンディングです。エンディングでのそれぞれの進んだ先を映す演出も良い。その中で冒頭の進路と違う道に進んでいるのが星見純那と大場ななというのが‥‥。二人とも狩りのレヴューを通し再度舞台というものに向き合って自分の進む道を決めたのが感無量ですよ。正直最後らへんは感情の波が限界マックスでただただ映画に打ちのめされて呆然としていたので、記憶が曖昧なのですが本当に素晴らしい映画でした。来週中には2回目を見に行く予定なので、そこで感じた事が変わるかもしれませんが、とりあえずは1回見て自分の感じたままに書き残したいと思ったので、この記事を書きました。レヴュースタァライトが好きで劇場版を見ていないという人は早く見に行きましょう。よろしくおねがいします。