Nintendo Switch用ネクロバリスタ: 最期の一杯をクリアしました。その感想を書いていきたいと思います。ネタバレはありません。
ネクロバリスタ: 最期の一杯は、オーストラリアのインディーゲームスタジオRoute 59が開発したビジュアルノベルであり、PLAYISMより2020年7月22日steam/GOGにて配信されていた「Necrobarista」に追加シナリオなどの追加要素を加えて2021年8月12日発売された完全版です。コンシューマー版のアナウンスがありながら全く情報が無かったのですが、「Indie World Showcase 8.11.2021」にていきなり発表され、配信されました。
この記事でめちゃはしゃいでますね自分。
ネクロバリスタの説明は、ニンテンドーeショップのものを引用すると、
死とコーヒーで紡がれる物語
『Necrobarista』インタビュー:美しい言葉のビジュアルノベルを目指してーーメルボルンのカフェが舞台の死者復活の物語は何を目指すのか (ign.com)
3Dビジュアルノベル『ネクロバリスタ』は、「Fate/ stay night」と「コーヒー」を混ぜて生み出された。開発者インタビュー - AUTOMATON (automaton-media.com)
『ネクロバリスタ』を、同作に影響を与えた『ファタモルガーナの館』開発者がレビュー。ジャンルの新境地を開いた「静と動」の表現 - AUTOMATON (automaton-media.com)
ネクロバリスタが影響を受けたと公言されているファタモルガーナの館の縹けいか氏によるレビューは凄く良いので読んでください。
私も発売から1ヶ月ほど経ってしまいましたが、昨日クリアしました。
ネクロバリスタクリア。本当に良い作品だった。コーヒーの匂いが漂う生と死、出会いと別れ、去る者と残される者の短編ADV。ストーリーも良いが何より演出が素晴らしい。 #Necrobarista #Route59 #PLAYISM #NintendoSwitch pic.twitter.com/a2RRYPOcW9
— SIGH (@sigh_xyz) 2021年9月21日
実際にプレイしてみて前評判以上の出来であったと思います。総プレイ時間は4~5時間ほどでしたが、非常に濃密な体験でした。
立ち絵やスチルを使わない3DアニメでのADVのため視点がぐるぐる動きますし、そのシーンごとに一番いいカット割りで演出された場面は、ゲームというよりは映画を見ているような感覚でのめり込む事が出来ました。
オーストラリアのスタジオのゲームという事で、オーストラリアで英雄視されている盗賊ネッド・ケリーも亡くなった後の本人役で登場します。ネッド・ケリー - Wikipedia
オーストラリアの方にとって、これは日本だと織田信長などをゲームに出すような感覚なのでしょうか?
ゲームの流れとしてはADVパートがあり、その終わりにアシュリングという作中のヤドカリ型の機械3体によるそのパートの総括をするパートがあり、その後幕間として一人称視点でストーリーが進むごとに徐々にエリア解放されるターミナル(カフェ)内を自由に探索し、細かなサブシナリオを従来のテキストノベルのような形の文章で読む事が出来ます。このサブシナリオは登場人物を深堀りしたり、過去にこのターミナルにやってきた客の痕跡を感じられます。そして一通り探索を終えるとADVパートに戻って話の続きを見るという形です。ADVパートでは黄色い文字が出てきたらZRボタンを押すと小ネタのTIPSが読めます。
本作の数少ない不満点として、このターミナルからADVパートに進む際に1回エラー落ちがあった事と、幕間の探索パートではセーブが出来ず、ADVパートでしかセーブが出来ません(スイッチにはスリープモードがあるので気にはなりませんでしたが)、そして、そのセーブスロットは6つあるのですが、セーブを上書きをする事が出来ずにその欄を使いたいなら、セーブスロットを削除→空いたスロットにセーブをするか、6つのスロットを順番に使います。分岐なしの短いゲームだったのでセーブスロットを順番に使っていけば困る事はないのですが、もう少し長かったり分岐があったら大変だったと思います。ADVゲームとしての快適さが少し欠けていたかな~と思いました。
ただその欠点を補って余りあるほど、物語として面白かったです。生者と死者を軸にした賑やかで穏やかでありながら物語の根底には死によって訪れる別離に対する無力感と自分の存在が消えてしまうという恐怖が満ちています。ネクロバリスタの舞台設定が「この世で死んだ者があの世に行く前に24時間だけ(延長可)立ち寄るカフェ」という事で、誰が生きており、誰が死んでいるのかというミステリ的な面白さもあります。
スイッチ版ではPC版で無料DLCの本編のサブキャラクター達を掘り下げる「Walking to the Sky」「Devil's Den」という短編ストーリーが最初から収録されており、物語中盤から見ることが出来ます。この「Walking to the Sky」が特に非常に素晴らしい出来であり、理屈っぽい悩みを抱えた16歳の男女同士の交流が素晴らしいです。
死や別離の恐怖を抱えている人にぜひプレイしてほしい作品です。
また本作ネクロバリスタは巷で流行っている同じくシナリオの評判が良いアイドルマネージャーと同じシナリオライターという事で、ネクロバリスタをプレイしたらアイドルマネージャーを。アイドルマネージャーをプレイされた方はぜひネクロバリスタをプレイしてほしいなと思います。