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黎の軌跡クリア感想(ネタバレなし)

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発売直前の記事はこちら

 


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本日黎の軌跡をクリアしました。シナリオのネタバレなしで感想を書いていきます。

サブクエスト全クリア・場面転換ごとに街中のモブに毎回話しかけてクリア時間は80時間、2週間ほどでちょうどクリア出来ました。本作からは舞台が変わり、今までは良く分からない大国という印象であったカルバード共和国が舞台になります。そこで主人公のヴァンを中心にアークライド解決事務所のメンバーと共に謎の機械ゲネシスとマフィアのアルマータを追っていくというのが主なストーリーとなります。まず初めに本作で黎の軌跡としてのストーリーは一切完結しませんし、シナリオでの謎は半分以上明かされていません。これは軌跡シリーズの伝統なので気にしてはいませんが特に閃3の時のようにラストで急展開が次々と起こってENDという訳ではなく、一応ラストでふんわりまとめて落ち着くところに収まったので良かったです。

正直本作は主要キャラクターと設定・世界の紹介といった風の「黎の軌跡序章」に過ぎないストーリーでしたが、それでもダレることなく単純接触効果もあると思いますがキャラの掘り下げをして愛着を持たせたり、シナリオやサブクエスト・街中のモブキャラから世界設定の輪郭を描き、プレイヤーに面白いと思わせる手腕はさすがファルコムだと感じました。

キャラクター描写は1章につき1パーティーキャラという風にその章で加入するキャラをじっくりと描いていくため、そのキャラの裏設定は明かされずともキャラ同士の膨大な会話等からキャラをしっかりを掘り下げており、ゲームを進めるごとに愛着が湧きました。

本作の主人公は遊撃士でも警察でも学生でも英雄でも白でも黒でもない裏解決屋(スプリガン)という設定でしたが、ダークヒーローといった風ではなく、どちらかと言えば 黎(あおぐろ)いブラックヒーローであり、スイーツとサウナと車と映画が好きなウザいオッサンで、保護者でお人好しでシリーズ屈指の世話焼きで、それでいて自己肯定感がめちゃめちゃ低いので自己犠牲しがちというキャラに仕上がっており、だからパーティーキャラはほっとけないという塩梅が上手いなぁと思いました。

またヴァンが裏稼業をしていたという事もあり、今までのシリーズ作品の共和国側の裏で動いていたという事で今までのシリーズの見方の幅が広がりましたし、だからこそヴァンの持つ作中知識が今までシリーズをプレイしてきたプレイヤーと同程度というのもシリーズ作だからこそのプレイヤーとキャラクターの目線の合わせ方として最適かなと思いました(その分新規には優しくないですが)、ただ裏解決屋への作中の依頼受注の仕方がXYZならぬ4spgと今どきシティーハンター方式なのはベタといえば良いですが、ファルコムさすがに古臭すぎ‥‥となりました。ただ、言い回しは古臭くてもシナリオやサブイベント等では様々な人種が集まるカルバード共和国として人種差別・LGBT/セクシュアリティを全うに扱っており、裏解決屋らしくグレーな話題からも目を逸らさずに狭間にいる人に寄り添う優しい姿勢が見てとれました。

1周しかしていないため、細かいことは不明ですが、サブイベントで上昇するLGCアライメントのロウ・グレイ・カオスの属性も終盤の一部展開が分岐するのみで大枠のシナリオは変わらないようです。80時間かかるゲームを複数回周回するのはかなり厳しいのですが、機会があったら1周目とは違うルートを辿ってみたいですね。

そしてグラフィックですが、明らかに前作創の軌跡を上回っておりグラフィックの質はもとよりイベントシーンでの些細な仕草や派手な演出などもクオリティが高く仕上がっていました。ゲームエンジンを変えたからなのかAAAタイトルと比べるとさすがに見劣りしますが、モーション、フェイシャル、背景モデル、シェーダーなど今までと比べても素晴らしいものでした。

本作から一新されたシステムについてですが、まずはバトルからでマップとロード無しのシームレスに繋がっておりマップ上でアクションゲームのように戦ったり、従来のようにコマンドバトルのように戦う2種類ありますが、ほとんどコマンドバトルで行ってました。アクションはマップに1・2種類は体力の低いアクションバトルでも倒せるような小型の敵が用意されていますがそれ以外の敵はアクションのまま倒すのは現実的ではなく、ほぼアクションバトルでスタンさせてからコマンドバトルに移行(シャード展開)すると、相手にダメージを与えつつバフを貰って先制が出来るのでそこまでの繋ぎという感じでした。

本作は従来の作品と比べてバトル難易度が高く、雑魚敵も上記のスタンからのシャード展開前提になっていると思いますし、敵のSクラフト(必殺技)は平気で体力上限ギリギリくらいまで削ってくるので本作から登場した体力追加制のシールドが非常に役立ちます(というか必須)。またCPが溜まっていてもブーストゲージ(初期3、Sクラフト使用するごとに上限が上がりMAX9)を溜めてキャラをフルブースト(ブーストゲージを2消費してキャラを強化)させないとSクラフトが使えないという事で、今までのシリーズで有効だったボス戦前にパーティーのCPをマックスにして、バトル開始直後にSクラフトを連発するという戦法が出来なくなり、誰からブーストさせるのかという戦略性がありました。ただ上記の通りブーストゲージの上限開放のためにSクラフト連発前提のシステムの割にSクラフトや後、上位アーツなどの演出がスキップ出来ないのはいかがなものかと思いました。Sクラフトはそれでもサクサクした演出でストレスは無いのですが、上位アーツは非常に演出が長いと感じました。スキップするかどうかはプレイヤーに任せてスキップ機能自体は付けても良いかなと思いました。

またクォーツ(パワーアップアクセサリー)の機能も過去作と一新されており、本作は基本クォーツ以外は決められたラインにしかクォーツをセット出来ず、その組み合わせでシャードスキルといって空の軌跡のアーツ(魔法)のように発揮するスキルを自由にセット出来ます。アーツは完全にクォーツとは別枠になり、アーツドライバとプラグインといって、アーツの属性に合わせたセットとアーツドライバと重複しない個別にセットできるアーツのプラグインがあります。そのため従来の作品と比べセット出来るアーツは非常に少なく感じました。

また閃の軌跡でいう「戦術リンク」の代わりに本作は「スクラム」という戦闘中隣り合ったキャラ同士が連携するというシステムがあり、戦術リンクは離れていても効果が発揮できましたが、本作のスクラムは隣り合っていないと効果が発動せず、そのためバトル中はキャラがギュウギュウ詰めになって敵の範囲攻撃を食らいやすかったりしましたし、せっかく4人パーティーなのだからゲームが進行するにつれてスクラムの上限は2人ではなく3人、4人と臨機応変に変えれたらなと思いました。

街中で会話することが出来るモブキャラも結構減りました。以前のシリーズは街で歩いている人はほぼ全て話しかけられたのですが、本作は決まったネームドモブにしか話しかけられません。序盤は寂しいなと思っていたのですが、ゲームが進むにつれ話しかけられる人数が増えかなり膨大になり、それでいて従来通り場面転換ごとに話す内容が変わるのでその会話を追うのは大変でしたがやりがいがありました。また本作からの改善として今まではモブに話しかけると2回目時には3回目まで会話の内容が変わることがあり、その見極めが大変だったのですが今回は話しかける前はキャラのポップが青色で、それ以上会話が出来ない時は灰色に変わるようになったので分かりやすくなりました。

本作から1マップがシームレスに繋がっており建物から建物や、ダンジョンで敵と遭遇してバトルする時などにロードが入らなくなっています。それは非常に快適なプレイ感覚だったのですが、その分マップ切り替え時のロードが長めです。通常10秒~15秒程度、長い時は30秒以上でフリーズしてないか心配になることもありますが、これは新規シリーズ1作目でゲームエンジンやシステムの刷新とシームレス化したことによる弊害かなと思っているので普通に納得は出来るのですが、終盤になるにつれ戦闘やイベント時の処理落ちがキツくなっており、非常にラグいです。同会社のイース9も発売当初は非常に処理落ちが目立っていたため、今後のアップデートで改善するかもしれません。これは私の環境がPS4の初期型であるからでPS4ProやPS5では変わってくるかもしれませんので参考までに。またSNSを見るとバグ報告が多いですが、私がプレイする中では目立ったバグは確認できませんでした。

私は昔から変身ヒーローが好きで、本作が変身ヒーローがテーマという事で非常にその点でもワクワクしていました。近年のファルコム閃の軌跡でのロボットモノといいオタクの心をピンポイントで突いてきます。各章の最後の変身シーンは同時に流れるBGM「RISE OF THE GRENDEL」も合わさって非常に盛り上がりますね。特撮ヒーローのお約束もあり、軌跡シリーズらしさもありとシナリオへのプレイ中の熱中度はかなり高かったです。

シリーズを一新した1作目という事でシステム面での未完成感や欠点・粗も見られましたが、それ以上にこれから「黎の軌跡」を盛り上げていく!という気持ちが非常に感じられて新たなシリーズの幕開けとしてとても良いゲームでした。ありがとうございました。また来年の秋も待ってます。