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真・女神転生Vクリア感想(ネタバレなし)

ついに長年楽しみにしており、プレイ中も非常に楽しかった真・女神転生Vをクリアしてしまった。68時間半ということで約70時間弱ず~っと楽しいゲームだった。

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ちなみに名前は家の近所にもある須賀神社 須賀神社 - Wikipedia と真Ⅴだから須賀シンゴという事にしました(ネーミングセンス‥‥)。他のキャラも神社名が苗字ですからね。

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このように新PVが出るたびにブログ記事にしていた事からも分かると思います。本作は過去作と関係がありますが知らなくても問題はありませんし、システムの完成度・親切さなどから新規プレイヤー層にもメガテンシリーズを遊びたいならⅤから遊んでほしいと思います。

 

実際にプレイしてみて感じた感想をまとめていきたいと思います。

 

①練られた戦闘システム

メガテンのキモの1つと言ったら戦闘要素でしょう。真Ⅲから用いられているプレスターンバトルは、まずパーティーメンバー分(最大4つ)プレスターンアイコンが存在し、相手の弱点をついたり、クリティカルを出すとアイコンが点滅して、その数だけ再行動できます。つまり4人パーティーで全員が相手の弱点を突けば計8回1ターンに行動出来る(当然相手も使用してくる)という物です。真Ⅲからなのでもう20年近く採用されているシステムですが未だに飽きずに出来が良いなぁと思わされます。

そして本作真Ⅴにはマガツヒゲージという物があり、戦闘画面右上のゲージの事ですがそれが溜まると種族ごとに使えるマガツヒスキルがあり「ターン中、味方全体に自身の能力上昇、低下効果による影響度が倍増する効果を付与する」「ターン中、味方全体にあらゆるスキル使用時のMP消費量が1になる効果を付与する」「3ターンの間、味方全体の全能力を最大まで上昇させる」「次のターンまで味方全体に被ダメージを大幅に軽減する効果を付与する」などの恩恵が受けられます。ただ一番強いと感じたのは全種族が最初から使える「ターン中、味方全体に魔法も含む全ての攻撃がクリティカルになる効果を付与する(禍時:会心)」効果です。上記のプレスターンバトルのシステム上クリティカルになればなるだけ強いので、マガツヒゲージが溜まる前にバフデバフを使って自分の能力を高め、相手の能力を下げておきゲージが溜まったら全力で攻撃するというのが一番強かったように思います。

最近のメガテンはプレスターンバトルの他に何か要素を追加しているのですが、このマガツヒゲージはⅣ・ⅣFのニヤリよりは理不尽感が少なく、また神意というゲーム中のシステム解放・強化要素で「マガツヒゲージが溜まっている状態では毎ターン少量HP・MPを回復する」というものもあり、いつマガツヒスキルを使うかという駆け引きを味わえます。メガテンシリーズは終盤になるごとに大味な戦闘バランスになっていくのですが本作もその例には漏れず、強烈な戦闘時のレベル補正もあり、相手と自分たちのレベルが離れすぎているとほとんどダメージが通らないので、正直ボス戦で詰まった時の最適解は「レベルを上げて耐性を付けて弱点で殴ればいい」です。私は難易度は通しでノーマルだったので終盤は少し大味な戦闘になってしまいました。最後まで一戦一戦考えて戦いたい人は最初に難易度ハードにしてください。

 

②探索と成長要素の噛み合い

本作はメガテンシリーズでは初である非常に高低差のあるぱっと見では分かりにくいマップを隅々まで探索するという要素が追加されました。この探索要素はメガテンのキモは戦闘なので探索要素は薄めで良いという声もあり賛否両論ですが、私は広めのマップを行ったり来たりしてマップを埋めていくという作業が好きなのでどちらかと言えば肯定派です。

そしてマップを埋めていく中で当然敵と戦闘になり適度にレベルが上がり(ただいきなり上空から現れるアンズーと地中から現れるマカーブルだけは許すな)、サブクエストをして世界観を深め、宝箱を見つけ、クエストナビと言ってエリアごとに主人公についてくる悪魔が適度に落ちているアイテムを発見してくれたり、御厳と呼ばれる神意を習得するために必要なアイテムがあったり、ミマン(全200体)という見つけると少量の御厳が貰え、5体見つけるごとにショップで特典があったり、マガツカという強ザコを倒すと習得出来る神意が増えるなどの探索要素があります。そのどれもがキャラクターの成長要素と非常に強い関係性があり、新マップにいくごとに宝箱や御厳はたいていマップでわかりにくい場所にあるので、隅々まで探索して成長要素を拡大しつつマップを埋めていくという作業は個人的には非常にやりがいがあって楽しかったです。またミマンも200体いるのでダルすぎると思いきや、各マップにいるチロンヌプという狐の悪魔に話しかけてお金を払えば、そのマップにいるミマンを全てマップに写してくれるので救済要素もあるのが良かったです。

『真・女神転生V』パッチ配信に関しまして | アトラス公式サイト (atlus.co.jp)

今後のアップデートで改善予定ですが、移動時のカメラワークが少しキャラに近く、高低差のあるマップ構成と組み合わさり迷子になったりどこへ行けば宝箱に辿り着けるのか分かりにくい部分があったり、一部ダンジョンではギミックがただ面倒すぎる(ストレンジジャーニーの全マップやⅣFのYHVHの宇宙に比べたら10倍マシとはいえ)のはもう少し何とかしてほしかったですね。

 

悪魔合体の充実

メガテンシリーズの醍醐味と言えば悪魔と悪魔合体です。悪魔は3Dモデルやモーションも素晴らしく、それぞれがイキイキと動き回っているのを見ると本当に凄いなぁと感心しました。悪魔合体は悪魔同士を合体させ別の悪魔を生み元の悪魔のスキルを引き継ぐという物ですが、本作では前作ⅣFから追加されたスキル特性という要素があり、スキル名の横のプラスやマイナスの表記がそれですが、これはその属性スキルが得意であれば消費MPが減り、スキルの威力も上がるという物です。苦手であれば消費MPは増え、スキルの威力も下がるという物です。そのため基本的には得意属性やプラスもマイナスもついていないスキルを使いたいですが、ただ本作はプレスターンバトルというシステム上弱点を突ければ再行動出来るので苦手でも技範囲を広げるために覚えさせるかどうかというスキル構成の駆け引きもあります。

そして本作の悪魔を育成する要素で非常に素晴らしいのがストレンジジャーニーのデビルソースを改良した写せ身というその悪魔の持つスキルを引き継げるという物で、これはマップに落ちていたり、悪魔のレベルアップ時に貰えたり、戦闘中相手が命乞いをした時に、写せ身が貰える神意を習得していれば貰えます。ただそのまま悪魔に引き継げる訳ではなく、一定の特に高レベル帯の悪魔には専用スキルがありそれは引き継げません。これはその専用スキルを持つ悪魔を育成するときにも関わってきて、専用スキルは威力も高く追加効果もあることが多いので非常に役に立ちますが、その悪魔しか使えないので悪魔合体の時に引き継げません。そのため専用スキルの多い悪魔は今後の悪魔合体の事を考え汎用スキルで専用スキルで上書きしたりなどの駆け引きもあります。ただその専用スキルを持つお気に入りの悪魔を使い続ける事も可能で、本作では生み出した時のレベルからレベルアップして離れるごとに必要経験値が膨大になりますが、各マップに点在する昔の悪魔の石像を調べたり、魔導書といって仲魔を無条件でレベルアップさせるアイテムも大量に手に入るのでそれで使い続けられます。

ただ、写せ身を始めとして本作ではアイテムが所持上限に達しているとマップの宝箱で写せ身やアイテムが手に入らずマップ上の宝箱の表示も消えず、アイテムや写せ身をその場で捨てる事も出来ないので、わざわざ何が手に入れられなかったか覚えて近くの龍穴(セーブポイント)に飛んで、ショップで売ったり、写せ身を使ったりという手間がかかります。別にマップを埋める事を気にしない人なら気にならないかもしれませんが自分は気にするので、その点だけ惜しいなと思いました。出来たら今後のアップデートで所持上限を増やすか、無くす。もしくは一度開けた宝箱は中身が手に入れられなくてもマップ上の表示を消すなどをしてほしいですね。

 

④深みのあるキャラクター・ストーリー

メガテンシリーズは戦闘と並びシナリオも非常に重要なファクターですが、本作は同じアトラスのペルソナシリーズや前作真Ⅳ・真ⅣFに比べると全体的なテキスト量も圧倒的に少なく、その点が本作のストーリーが薄い・キャラクターの掘り下げが足りないと批判対象になっていますが、私は別の意見を持っています。

メガテンシリーズは徹底してプレイヤー=主人公だけの視点の物語という物語の構成を取っています。そのため主人公の知らない場所で何か陰謀が起きていても、そのキャラが主人公に話さなければプレイヤーも主人公も知る事は出来ません。そのため主人公が席を外した後その場に残った人の話は分かりません。その後のそのキャラ達の言動で察する事しか出来ないのです。そのため前述した探索要素として各地の広いマップを回る中で、昔この地で何があったのかと考えるというナラティブな体験があります。

また本作ではわざと説明セリフを省いているフシがあり、非常にハイコンテクストな会話が多いです。ストーリー上悪魔同士が何か因縁がありそうなことを言っている場面であっても何故因縁があるのかは語られず、それはプレイヤーが前提条件として自分で各地の神話や聖書を紐解いて、その神が何をしていたのか、そしてどの神と因縁があるのか、キリスト教の発展の中で各地の神がなんという悪魔として扱われて同一視されるようになってきたか(本作ではたびたび出てくる"創造主に貶められた"というワードです)を調べなければいけません。私は元からそういった各地の神話が大好きであったり、メガテンシリーズをプレイしていたので何が言いたいかは大体汲み取れたと思いますが、全然神話等に興味のない人からすると何なんだこいつら‥‥と思ってしまうかもしれません。

そして上記のクリアセーブデータにも写っているように本作ではメガテンの伝統であるルート分岐やロウ・カオス・ニュートラル陣営があります。シナリオと合わせてその陣営の描き方は現実のカリカチュア・メタファー・アナロジーとなっており私たちの社会へ向けての風刺が効いています。私はメガテンのルートは物語の分岐というよりも、プレイヤーが作中唯一の選挙権を持つ選挙だと考えています。各陣営が私たちの作りたい社会はこうであるという事をシナリオ中に語って、それに対してプレイヤーがどの世界が良いのか考えて、その世界を選ぶ。本作はⅣFでも描かれた一神論と多神論から更に踏み込んだ無神論を作中に組み込んであり非常に興味深くプレイしました。

 

本作は主にⅣ・ⅣFから進んでいたメガテンシリーズの完全なスタッフ代替わり作品であります(Ⅳ・ⅣFは金子一馬氏が原案だった)。初期作からのスタッフは当然もういらっしゃらないですし、メガテン・アトラスと言えばの金子一馬氏・目黒将司氏もⅤにはスタッフロールを見る限りノータッチです。ⅣとⅣFがメガテンシリーズの再話・再構成という形を取った上で、本作Ⅴの過去作の舞台の十数年後の世界という設定を使った新作は、これまでのメガテンの伝統を守ってリスペクトしつつ、これからは自分たちが新しい世界を切り開いていくというスタッフの気合がゲーム中至るところから感じられました。この本気のゲーム作りをしてくれるならⅥ以降もメガテンシリーズは安泰だなと思えました。素晴らしいゲームをありがとうございました。