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AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブクリア感想(ネタバレなし)


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6月23日スパイク・チュンソフトより発売された打越鋼太郎氏がシナリオ担当の新作「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」のクリア感想を書いていきたい。プレイ時間は20時間ほどであり、3日間にかけて中だるみせず夢中になってプレイすることが出来た。ストーリー重視の作品であるため作中のシナリオに関わるネタバレはせず紹介に留めることとする。

 

ゲーム紹介

本作は2019年9月19日に発売された「AI: ソムニウムファイル」の直接的な続編である。発売前のトレーラーでは時系列のミスリードを誘われていたが、結局のところ前作真エンドの世界、あるいはそれに限りなく近い世界から地続きに続いているストーリーだった。

ニルヴァーナ イニシアチブ」からでも十分に楽しめ、ゲーム最序盤でゲーム中で前作のネタバレをするかしないかを選べ、「しない」にすれば前作からは独立した「シリーズ」ではなく「スタンドアローン」作品として遊ぶことが出来る。

ただ前作「AI: ソムニウムファイル」は各種ストアで頻繁にセールで安くなっていたり、現在Xbox Game Passに収録されていて加入者なら追加料金なしで遊べる等、プレイするまでのハードルが低いので、順当に前作からプレイするのが個人的におすすめである。

基本システムはテキストを読み、事件の捜査パートではポイント&クリック形式で対象のオブジェクトを調べたり、人に話を聞いて進めていく。そして事件の重要参考人に対してPsyncを行い、夢の世界に潜り事件の真相を探るソムニウムパートで構成されている。

 

良かった点

ストーリー

打越鋼太郎氏がシナリオを担当しているという事もあり二転三転するシナリオにのめり込むほど、非常にストーリーが面白い。単独の作品としても完成度が高く、続編としてもテーマの持続性・進歩や踏み込み方が完璧で満足感が高い。前作と合わせて「愛」をテーマに据え、一貫して掘り下げる事で作品全体にまとまりを持たせている。

個人的には「Ever17」を超え、前作と合わせて打越鋼太郎作品の最高傑作シリーズと言っても過言ではないと考えている。

打越鋼太郎氏が手掛ける作品のシナリオはどれも白眉であるが、序盤~中盤にかけての伏線仕込みパートの中だるみを感じていた。本作はテキストを読んで選択肢を選ぶだけでなく、プレイヤーの介入する余地が多くあり、様々なシチュエーションで捜査をさせたり、ソムニウムパートを合間に挟むことによりそれを防いでいた。

そして、打越鋼太郎氏らしく「プレイヤーが介入すること」自体に仕掛けが用意してあり、メタフィクションが好きな方も十分に楽しめるだろう。

シリアスとギャグ、緻密で練られたシナリオと、勢いでゴリ押す展開、設定の荒唐無稽さの配分がとても良く、エンターテインメント作品として非常に出来が良かった。

キャラクター

本作は多くのキャラクターが存在している。前作主人公であった「警視庁特殊捜査班ABIS」に所属する警察官「伊達鍵」は主人公ではなくなり、前作のメインキャラクターの一人であった「みずき」と、本作からの新キャラクター伊達鍵の後輩ABIS捜査官「龍木」のダブル主人公となった。そして各主人公には捜査を助け眼球の代わりとなるAIの相棒「アイボゥ」と「タマ」がそれぞれ存在し、コミカルなやり取りをしたり、時には励ましてくれたりと頼りになる唯一無二の相棒である。

その他のキャラクター達もただのサブキャラクターで終わるのではなく、物語にガッツリと関わり、話を展開してくれる。ゲームを通して各キャラの信頼関係が見え、それが「愛」というテーマに彩りを与えている。

前作からの改善点

前作からの多くの改善点が存在し、捜査パートで実際に現場を歩いて事件を考察できるようになった。前作の捜査パートはポイント&クリック形式であり、オブジェクトを調べ、人に話しかけるという事しか出来なかった。

本作は実際に事件現場を歩いてオブジェクトを調べて考察することができるようになり、そのおかげでプレイヤーが事件の全貌の把握をしやすくなった。

ソムニウムパートの改善点として、ソムニウムパートは360秒しか夢の世界にいれないという設定であり、そのソムニウム世界では残り時間を消費してオブジェクトに様々な方法で干渉して真相を探っていくが、前作は関係のないオブジェクトが大量にあり、無駄に時間を取られることが多かった。

本作はオブジェクトの数が減った代わりに、そのオブジェクト自体に対しての選択肢が増え、プレイヤーがソムニウムパート解決までの糸口を見つけやすくなったこと、そしてそのソムニウム世界における法則などをいつでも参照できるようになったことで非常に進めやすくなった。

また時折シナリオ中にQTEが挟まれるが、設定でソムニウムパートと合わせて難易度を下げる事も可能であり、ゲーム体験自体も難易度によって変わることはないため難しいと感じる人は低難易度で遊ぶことをおすすめする。

気になった点

システムの快適性

本作はシステム面の不満があり、私がニンテンドースイッチ版でプレイしたせいかもしれないが、前作よりも各場面転換の際のロード時間が長かったり、メニューを開く際ももたつきがあった。何回もフローチャートや資料画面を見る必要のあるゲームのため、その点がストレスに感じた。

また、セーブをした際などに表示される「OK」などの選択肢のないダイアログを消す際も、何故か一旦左右の方向キーを押す必要があり、決定ボタンを押しただけでは反応しないため最初はフリーズしたかと勘違いしてしまった。

またこういったアドベンチャーゲームはキャラクターに話しかけた時は選択肢を全て選びの反応を見るという楽しみがあると思うが、事件に関係する話を選んでしまうと会話が強制終了してしまうため、なるべく事件に関係の無さそうな人物から話しかけたり、関係の無さそうな話題から選ぶことになった。

エンディングムービーの画質

これは本当にただの不具合だと思うのだが、本作のエンディングムービーの画質がありえないくらいに荒く、見れたものではない。本作の余韻を壊すため早急に改善してほしい。

 

上記の点は今後のアップデートで改善されていく可能性があるため、2022年7月6日時点の意見として参考にしていただきたい。

まとめ

「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」は非常に面白く、本作からでもシナリオを楽しむ分には問題はないが、前作から遊んだほうがより楽しめると思う。

アドベンチャーゲームとして非常に優れており、近年でも特出した完成度である。打越鋼太郎氏のファンはもちろんのこと、アドベンチャーゲーム好きが本作をプレイしないのはただの損なので、おすすめしたい。

 

また、「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」の企画サイトとしてこちらが用意されている。本編のネタバレ要素は一切無いため安心して閲覧してほしいが、本作をクリアした時に覚えていると良いことがあるかもしれない。

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