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『ゼノブレイド ディフィニティブエディション』クリア感想

5月後半から『ゼノブレイド3』のために、復習としてプレイしていた『ゼノブレイド ディフィニティブエディション』をクリアしたので、感想を書いていきたいと思う。

12年前のゲームのため『ゼノブレイド』本編のネタバレを解禁している。未プレイの方は本記事の閲覧に注意願いたい。

 

本編は65時間、ディフィニティブエディションで追加された新規ストーリー「つながる未来」は8時間半程度でクリアすることが出来た。

ちなみに本編はWii版でプレイ済みであり、「つながる未来」は初見プレイであった。

 

ゼノブレイドとは

ゼノブレイド』は2010年に任天堂よりWii向けに発売されたゲームである。開発はモノリスソフトであり、総監督・原案は『ゼノギアス』『ゼノサーガ』シリーズで知られる高橋哲哉氏である。

ゼノブレイド』は発売後好評を博し、その後は派生作である『ゼノブレイドクロス』や続編の『ゼノブレイド2』もリリースされ、JRPGというジャンルの代表作ともいえるまでに急成長したIPである。

ゼノブレイドを冠したシリーズを合わせてゼノブレイドシリーズと呼称されたり、共通の設定が存在する過去作である『ゼノギアス』『ゼノサーガ』も纏めて「ゼノシリーズ」と呼ばれることが多い。

そして、今月の2022年7月29日に最新作『ゼノブレイド3』の発売が予定されている。

本作『ゼノブレイド ディフィニティブエディション』は、2020年5月29日に発売された初代『ゼノブレイド』のグラフィックとモデリングを修正し、システムの変更を加え、本編後日譚となる追加シナリオ「つながる未来」を収録したリマスター版となる。リマスターという事だが、Wii版と比べリメイクと言っても差し支えないほどの変わりようである。

 

ゼノブレイドの感想

もはや12年前のゲームということでシステム面や魅力は語りつくされてるだろう。そこで個人的に思う『ゼノブレイド』が優れている点を挙げたい。それはゲームシステムと演出、シナリオが、それぞれ浮くことが無く融合されているということだろう。

まず巨神と機神の上に世界が存在するという突飛な設定にも関わらず、プレイヤーが混乱せずに飲み込むことが出来るのは、広大な世界を自分の足で回るという体験を通して、『ゼノブレイド』という世界を実感できるからだろう。

ふと見上げれば次に向かう場所が窺えたり、崖の下を見れば今まで自分が歩んできたフィールドがそのまま映し出されているという細かいディティール。神の体の上という設定を活かし、巨神の足に住んでいたシュルク達の冒険を通し、プレイヤーが巨神を登り、機神にまで足を運ぶうちに文字通り世界が広がっていき、設定に説得力を持たせている。

また、主人公のシュルクは未来視(ビジョン)と呼ばれる、モナドという剣を通して未来を垣間見る能力を得る。戦闘では敵から危険な攻撃を受ける時に、その攻撃を受けた未来を見ることで、その状況に応じた対処を取り未来を変えて戦闘を有利に運ぶことが出来る。

シナリオ上では、これから起きるであろうキャラクターとの出会いや、キャラクターが死亡する場面を見て、その未来を変えるべく奮闘する姿が描かれる。

このバトルとシナリオでの未来視の描写が乖離しておらず、バトルでプレイヤーが散々死の危険を乗り越えてきたからこそ、キャラクターの死亡を防ぐために未来を変えるというシナリオの展開が「そういうことも出来るだろう」と無理なく描写されている。

また終盤で、シュルクが未来を見ることが出来るのは、その未来が不確定のものではなく神の定めた運命であり、それを見せていただけというのが明かされるが、それに対するシュルク達の「未来は誰にも分からない、未来は一人一人自分で切り開いていくもの」という結論は、未来を見ることに頼り切っていた『ゼノブレイド』のプレイヤーだからこそ刺さるアンチテーゼとして機能していた。

 

だからこそ、誰も未来がどうなるか分からない神なき世界が舞台の、追加ストーリー「つながる未来」ではシュルクが未来視を使えない。その設定とテーマ性の融合の一貫ぶりは良かった。

 

つながる未来の感想

追加ストーリーということで、『ゼノブレイド2』の「黄金の国イーラ」程度の規模感だと考えていたが、そこまで大きくはなく主に一つの大きなフィールドである「巨神肩」を舞台に、ミニマムな冒険が展開する。

「つながる未来」では本編での前述した未来視・スキルツリー・スキルリンク・チェインアタック・ジェムクラフト・キズナキズナグラム・キズナトークという主だったシステムがオミットされた。

チェインアタックの代わりに新要素のノポンジャーによる必殺技、キズナトークの代わりにナカマトーク(キズナ上げの必要なし)、ジェムは鉱石からそのまま掘れるなど代替システムがあるが、人によっては本編と比べて物足りなさを感じるだろう。

個人的には本編並のシナリオボリュームが無いのに、本編並の育成を求められるとしたらどうしても単調さを感じる。そのためキャラクターを育成しなおす手間と時間が必要なく、あくまで追加ストーリーとして、『ゼノブレイド』のその後を体験するということに割り切っていたのは良かった思う。

シナリオも本編では徐々にシュルクとフィオルンの関係にスポットが当てられ、神とはなんぞやという話にスケールアップしていった。そのせいか終盤はあまり描かれなかったパーティーキャラクターのメリアやハイエンター達についてと、本編の仲間だったリキの子どもたち(ネネとキノ)の冒険と成長に焦点が当たり、本編主人公のシュルクは実質的に主人公から降ろされ、一介の技術屋・研究者としての役割しか与えられていない。

「つながる未来」でメリアとリキの子ども達が主題になったのは、メリアとタルコ/ネネとキノという二組の「血の"つながらない"家族」という関係を通し、改めて人々の"つながり"を描き、それによってもたらされるであろう"未来"を描くという目的があったように思う。

 

以上が『ゼノブレイド ディフィニティブエディション』クリア感想である。システム面や内容の紹介というよりは、プレイして感じたことが中心になった。

ゼノブレイド3』発売まで後10日ほど。楽しみにして待ちたい。