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『春ゆきてレトロチカ』クリア感想(ネタバレなし)


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『春ゆきてレトロチカ』をクリアしたので、感想を書いていきたいと思う。普段からミステリ小説を愛読する私であるが、中々面白くプレイすることが出来た。本作はミステリーというジャンルの性質上ネタバレが禁止のため、主にゲームの紹介やシステム面での話をしていきたいと思う。

 

『春ゆきてレトロチカ』とは

『春ゆきてレトロチカ』は、2022年5月12日にスクウェア・エニックスより発売された"新本格"実写ミステリーアドベンチャーゲームである。

"ミステリ小説作家「河々見はるか」と担当編集「山瀬明里」の元に、小説の監修を行っている生物学者の「四十間永司」が現れ、100年に1度の四十間家代替わりの行事「桜参り」に同行して、四十間家に伝わる不老の果実・「トキジクノカクノコノミ」と、最近四十間家の庭から見つかった100年前の白骨死体についての調査を依頼する"という導入から始まる本作。

スタッフはプロデューサーは『NieR:Automata』に携わった江原純一氏。ディレクターが『428 ~封鎖された渋谷で~』や『TRICK×LOGIC』のシナリオディレクターであった伊東幸一郎氏。『全裸監督』等のプロデューサーである撮影プロデューサー兼シナリオディレクターのたちばなやすひと氏など非常に豪華な面々である。

開発は『すばらしきこのせかい -Final Remix-』 『新すばらしきこのせかい』等でスクウェア・エニックスと縁深い「ハ・ン・ド」である。

 

システム面紹介

本作は章仕立てのアドベンチャーゲームであり、「問題編」で起きた殺人事件を「推理編」で情報を整理し仮説を組み立てて、「解決編」にて真相を解き明かし解決するという流れである。

「問題編」で手に入れた「謎」と「手がかり」を元に、「推理編」では盤面に置かれた「謎」パネルと手元にある「手がかり」パネルに描かれた絵柄が合うように、六角形のマスで仕切られた簡単なパズルを行い、仮説を導き出す。そしてまとめパートで結論を出し、「解決編」で仮説を元に実際にプレイヤーが選択肢を選んで事件の犯人を指摘する。

 

また、一人のキャストが複数の役を演じる「マルチロールシステム」が特徴的で、劇中劇のような形で50年ごとに切り替わる物語の年代によってキャストは別の役を演じている。ただ特に似ていたり、前世であったり、同じキャストだから演じられた人物同士に関係があるという訳ではなく、『春ゆきてレトロチカ』の主人公であるミステリ作家「河々見はるか」が作中で触れる物語の人物を自分の身近にいる人に置きかえて理解を深めているという設定である。そのため実際の姿と劇中劇での姿が全く違うということもある。

 

感想

新本格ミステリを謳うだけあり、シナリオに力が入っており二転三転する真相や、巧妙なミスリードには何度も騙され、先の展開が気になり終盤は一気にプレイした。

内容に関わる感想は書けないが、一番方向性が近いのはメフィスト系ミステリだと思う。新本格ミステリで代表的な綾辻行人氏、有栖川有栖氏、麻耶雄嵩氏などが好きな方も気に入る方が多いのではないか。実写ゲームということで役者の方の演技も良く物語に引き込まれた。

 

気になった点

UIやテンポの悪さ

本作は「問題編」と「解決編」は映像を見つつ要所の選択肢を選ぶだけなので、プレイヤーが直接的に操作するのは「推理編」になるが、この「推理編」のUIがかなり曲者で、「謎」と「手がかり」のパネルに描かれた絵柄が合うように、六角形のマスで仕切られたパズルを行うのは前述した通りだが、何故かパズル画面の視点がパネルを斜めから見た形となっており、「謎」パネルの絵柄の視認性が劣悪であったり、パズル画面は上下に動かせるが、どんなに画面上に「謎」パネルが見えていてもパネルが点滅していないと「手がかり」パネルが置けなかったり、視点が斜めのため単純にパネルを置く距離感が掴みづらかったりする。真上から見るモードがあって視点を随時切り替えることが出来たら良かった。

また、パネル同士を組み合わせると仮説が導き出せるが、仮説は毎回3Dグラフィックで仮説を表現した場面が描かれるがそのテンポが悪いのと、量が少なければテンポの悪さもある程度は許容できるが、ゲーム側がフェアに事件の犯行の可能性を全て提供するというスタイルなので、明らかに違うと分かっている仮説も非常に多く、毎章玉石混交な数十個の仮説を導き出し、毎回テンポの悪い映像が流れるのは面倒くさかった。

そして、「解決編」で間違った選択肢を選ぶとバッドエンドになり、「推理編」まで戻されるのでその部分もテンポが悪く、間違った選択肢を選んでバッドエンドになったら「推理編」まで戻すのではなく、直前の選択肢に戻せばよかった。

 

ミステリーゲームとして

この部分は各人のミステリーへの考え方次第になるが、本作はミステリーとして序盤・中盤の章は各事件の真相に納得のいくものも多かったが、終盤はゲーム側が自ら定めていたルールを破ったり、実写でゲーム全体の伏線・伏線回収のトリックを成立させるために、確かに挑戦的で見事だがアンフェア寄りな表現をしていたり気になる点もあった。

途中ジャンルがガラッと変わる章もあるが、あれは存在があまり必要ないと感じた。ゲーム全体の中のノイズであるし、そのせいでゲームがぶれていた。

 

まとめ

システム面に人を選ぶ部分があるが、ゲームを通して本気でミステリーをやるという気概に満ちていたゲームだった。実写だからこその表現方法を活かしたゲーム構成も良く、続編や同じコンセプトの作品がリリースされたらぜひプレイしたいと思う。