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カリギュラ2クリア感想

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本日カリギュラ2をクリアした。本編も終わって、クリア後の裏ダンジョン・裏ボスも倒して、サブクエストややり込み要素も全て完了したためこれにていったん終了したい。最終的にプレイ時間は45時間でありRPGとしてガッツリと世界観に浸ることが出来た。24日木曜日に発売されて今日でプレイ時間が45時間ということから分かるように、この期間は起きている時間ほとんどがカリギュラ2をプレイしており、そのハマりようが分かるかと思う。ゲームのやり過ぎで両肘が痛いが、仕方のないことかなと思う。面白さは何にも代えがたいものであるし。

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 上記は1の紹介と2のファーストインプレッションである。

まず一言。とんでもなく面白いゲームであった。バグも見当たらずカリギュラオーバードーズでの欠点を全て潰して、シナリオ面もより丁寧に描かれ、新規に優しく間口を大きく開けつつ、1、小説版、アニメ等の要素をファンに分かるように回収しており、カリギュラシリーズをVitaの時から追っていて良かったと本当に思った。個人的に2021の上半期で一番面白かった。期待しているシリーズの新作がめちゃくちゃ面白いというのは、こんなに幸せなのかと思った4日間でした。

下記はガッツリネタバレを含みますので、未プレイの人は気を付けてください。

 

 

 

①ストーリー

今回前作のシナリオ担当の里見直氏ではなく、プロデューサーの山中拓也氏が自らシナリオを書かれた。シナリオライターが変わったら大丈夫かなと思っていましたが、正に杞憂で山中拓也氏が自ら作り上げた世界観だからか、表現したいものをそのままぶつけてきている印象で正直前作よりもシナリオの出来は良かったです。前作はシナリオの進行に多少の強引さがありましたが、今回は帰宅部・楽士・それ以外のリドゥ住人を丁寧に描いていました。前作から垢が抜けて万人向けの青春ジュブナイルのシナリオになりつつ、その奥にギラリと光る邪悪な展開も見え隠れしていました。前作や小説版・アニメを通った人にはとても感動的な展開もあり、前作ファンの心残りであり待望のウィキッドの救済という展開は、2が小説版の最後からそのまま繋がっていると明かされる展開から本当に「俺は今凄いゲームをやっている」と震えてしまいました。また前作のキャラの解釈を捻じ曲げるような展開が一切無いのも素晴らしかった。前作の実質的なラスボスのソーンが、コンポーザーが同じだしブラフマンがソーンなのではないかという発売前の予想でしたが、よくぞそれをブラフの名の通り裏切ってくれました。ソーンは佐竹笙悟以外にはフェアな人間であり、前作帰宅部に敗れた時点で憑き物が落ちていますし、何より死んでいます。そのソーンがもし生きていたとしてもなんの成長も見せないまま2の楽士のボスになる展開はありえないですし、キャラ解釈的に違います。なのできちんと前作μと一凛に殉じたソーンこと棗飛鳥の精神を尊重しつつ、今回のソーンの残した楽曲使うがソーンではないというブラフマンを構成したのは上手かったです。また今作は楽士ルートはありませんし、もし完全版が出たとしても無いでしょう。シナリオ中に十分楽士達は自分の内面を吐露していますし、クリア後の楽士達との再戦をすると楽士の情報が見れますから。というか前作の楽士達はなんやかんや協力していましたが、今作は相互理解が無く一人で行動ばかりするビジネスな関係なので一緒にパーティーを組む姿が想像できません。今作でカリギュラシリーズの一旦の完結に見えたため、もし続編となってもどうなるのか分かりません。それくらい全体的に綺麗にまとめていました。

 

②キャラクター

今回はキャラクターの描写が前作よりもだいぶ丁寧に描かれており、ダンジョン攻略途中もいっぱい喋りますし、イベントも多くあるため愛着が持てました。今回は現代病理というよりは現代の人間に存在する悩みや挫折について描かれており、病んでいるキャラクターは少なかったです。しかしジェンダーや才能・死の恐怖・劣等感など等身大のプレイヤーが共感できる要素がキャラクターに散りばめられており、そのシナリオやエピソードを通してキャラクターだけではなくプレイヤーを拾ってすくいあげてくれました。キャラ同士の掛け合いもかなり多く、帰宅部の相互の関係性がとても良くてこいつらと離れたくね~と思いました。また続編という事で茉莉絵以外にも前作のメビウスに関係するキャラクターも登場し、あの大量のキャラの中にお前いたんだなと思ったりしました。バーチャドールのキィも最初はだいぶクセが強かったですが、徐々に人間性を獲得していく場面は、こういうAIや機械系の作品にありがちですが、それでも帰宅部とのやり取りが変わっていくのが良かったです。

 

③音楽

音楽面では一切のケチのつけようがなく、各楽士らのコンポーザーやBGM担当の増子津可燦氏が素晴らしい楽曲を制作してくださいました。それぞれの楽士の気持ちを全て歌詞の中に詰め込んであり、初見ではどういう事なのか掴みにくいところもありますが、楽士を倒して楽士の内面が見えると、歌詞の意味が手に取るように分かるようになります。カリギュラは前作でも楽士の曲はボカロPが担当していましたが、テーマやキャラに沿った作詞作曲能力が素晴らしいなと改めて思いました。またその楽士達の曲はマップBGMと戦闘曲としても使われていますが、探索や戦闘のノイズにならなかったので技術が高いなと思いました。

 

④システム

今回はシステム面も抜本的に改善されており、ファーストインプレッションと被りますが、オーバードーズでは戦闘バランスが大味でしたが、2はきちんと戦略を練る楽しさがあり、盾役に攻撃を集中させつつ状態異常や空中コンボを決めるなど毎回戦闘に緊張感があります。格下相手だと連打でも勝てますが、同レベルや格上ではきちんとどの敵から倒して…やどの攻撃をカウンターするためにどのタイミングでスキルを発動するかなど考えなくてはいけません。前作は毎回ターンが来ると3つスキルを入力しなければならず、後ろの方のコンボを繋げるのが難しい場面がありましたが、今作は1行動ごとにスキルを選べ、その場その場で最適な行動を選べます。そのため今敵が浮きそうだから対空技を撃つか、やガードしそうだからガードブレイク技にしておくかなどの細かい対応がしやすくなっています。ボス戦はそれぞれのボスの特色に合わせた仕掛けがありしっかりと難しいのもゲームに熱中させるのに良かったです。

また、ゲーム全体としてプレイヤーの誘導が上手かったです。カリギュラはバトルも楽しめるゲームですが前作は親密度上げやレベル上げが作業になりがちでした。今作も戦闘もレベルを上げたり仲間の親密度を上げるために何度も戦闘を繰り返さなくてはなりませんが、今回は戦闘画面がボカロ曲のMVのオマージュで、歌詞が背景に表示されたり、曲の展開によって演出が変わったりして面白いですし、装備(スティグマ)にパッシブスキルが付くようになり、戦闘を繰り返すと定着度が上がりMAXになるとその装備を外しても、パッシブスキルを付けておく事が出来るようになります。このパッシブスキルは戦闘以外でも因果系譜のサブクエストの進行に必要になります。このサブクエストの進行具合がちょうど良く、章のダンジョンを隅々まで探索するとパッシブスキルの付いたスティグマが手に入り、それが章終わりに解放されるサブクエストに必要だったり、今まで必要なスキルが無くて進められなかったイベントも進められるようになります。そのためダンジョンは毎回全部探索するようになりますし、そのおかげで戦闘も自然と数をこなすようになります。そのプレイヤーへの配慮が個人的に良かったです。ダッシュが無いこともファーストインプレッションの時に書きましたが、前作とは違いマップがただ広いだけではなく、細々とした空間がたくさんあるような形が多かったので序盤が過ぎた頃からは最初思っていたよりは気にならなくなりました。また、ファーストインプレッションにお使いが多いのにコンビニが少ないという問題ですが、中盤からはほぼふくびき券のため以外にはコンビニに行かなくなりましたし、同じものを複数回要求するクエストもほぼ無かったので、サブクエスト用にコンビニと学食に行った際に3~4個ずつ買っておけば全然大丈夫でした。というかダンジョンのホコロビを破壊していけば自然とアイテムは手に入りました。正直不満点はあまりないのですが、おつかいクエストや、場所を行ったり来たりという場面が多いのに、各ダンジョンはキィトレインを通らねばならないですし、キィトレインからもダンジョンの個々のセーブポイント(ショートカットポイント)には飛べないのでそこが少し手間でした。また因果系譜のふくびき券を貰えるキャラは見れば分かるのですが、小さいのでダンジョンで歩いているキャラクターの名前欄に見ればすぐに分かるように同じマークを表示してくれたりしたら分かりやすいかなと思いますし、WIREと因果系譜はかなり開く機会があるのにいちいちオプションを押してメニュー画面から移行しなければならなかったので、使っていないボタンに対応させて一発で開けるようにしたら便利かなと思いました。

 

とりあえず感想は以上です。本当に素晴らしい作品でしたし、プレイヤーを退屈にさせずに最初から最後まで失速せずに面白かったです。プレイ中に何度も「俺はこんな作品をやりたかったんだ!」と思いました。2からも前作要素はギリギリファンサービスの域に留まっており、作中で何があったのか説明してくれるため置いてきぼりにはならないと思いますし2からプレイしても良いと思いますが、前作のオーバードーズ・小説版カリギュラ・アニメを通ってからプレイする2は素晴らしいものなのですのでよろしくおねがいします。