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硝煙の匂い漂うトロピカルサグライフシミュレーター『Orangeblood』ネタバレなしレビュー


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『Orangeblood』は個人ゲーム開発者Grayfax氏が手がけたJRPG/トロピカルサグライフシミュレーターだ。PC(Steam)版が2020年1月14日に、コンソール版が2020年10月1日に配信開始した。緻密なピクセルアートが特徴的な作品で6時間弱でサクッとクリアできた。世界観・シナリオ・グラフィック・キャラクター・サウンド・雰囲気が素晴らしく、あまりにファッキンクレイジーで倫理観が終わっているストーリーのオチも最高であった。

沖縄近海に浮かぶ人工島「ニュー・コザ」を舞台にしてトラブルバスターのVanillaら4人の少女が巻き起こす騒動と活躍を描いている。199X年、仕事のミスでアメリカの連邦刑務所に収監されていたVanillaは、釈放の条件としてCIAから提示されたニュー・コザの閉鎖区画までの経路を切り開くという依頼を受け、故郷でもあるニュー・コザに向かう。

友人の妹でトラックメイカー兼DJのMachiko a.k.a DJ.AUTOMATICOと、刀使いの快楽殺人鬼で愚連隊霞ヶ浦連合の幹部Yazawa、武術の天才で香港三合会のカンフー使いJackieを仲間に加え、島を巡る陰謀に立ち向かっていく。キャラクターデザインは可愛らしく少女たちの会話劇もゆるい雰囲気なので、一見するときららマンガのような印象を受けるかもしれないがシナリオの実態は血と暴力と薬物が蔓延するバイオレンスなB級映画チックで全く可愛らしくない。

 

抗争の中で手に入れた工場で「センシティブな小麦粉」を製造し資金繰りをする一方、ニュー・コザに蔓延るヤクザ・マフィア・三合会に喧嘩を売り命を狙われる。Vanillaたちの日常はめちゃくちゃで刺激的かつ魅力的だ。ジャンル名として「トロピカルサグライフシミュレーター」を謳っているように生活感のディティールにもこだわっている。体力を回復するため食堂で食事をするときはボタン1つで完結するのではなく、食券を券売機で買う→食器を受け取る→テーブルで食べる→食器を返却口に返すという作業が必要だ。またシナリオの進行に関係ない部分で、ベンチに座ってタバコを吸ったり、屋上でゴルフができたり、屋台やバーカウンターで酒を飲んだりできる。オブジェクトにも細かく触れられフィールド上のトイレの便座のフタを片っ端から開けて回ることもできる。こうした部分の作り込みはニュー・コザで生きているというリアリティーを演出するのに非常に効果的だ。開発者であるGrayfax氏の全曲監修のもと、PLAYISMが作曲した90年代のHIP-HOPから多大な影響を受けたサウンドトラックも非常に素晴らしい。


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ここまで本作の良い点を挙げてきたが、システム面は正直に言って難ありである。私がプレイしたSwitch版だけかもしれないが、ゲーム全体のレスポンスが非常に悪く(これはどうやらバグ取りのアップデート後かららしい)ボタンを押して全ての画面に変移するときにフリーズした?と思うほど3~5秒ほど待たされる。短編RPGだからこそ耐えられたものの、長編だったら投げ出してしまいかねない。

Vanillaたちは銃火器を用いてバトルを行うが、フィールド上に点在する宝箱からランダムに効果が設定された銃や装備品が手に入るハックアンドスラッシュ方式を採用している。武器の種類はアサルトライフル・サブマシンガン・ショットガン・アンチマテリアルライフルがあるが、正直言ってアサルトライフル以外の使い勝手が悪いと感じた。これは後述するYazawaのスキルにも関わるが、Yazawa以外が全体攻撃をする意味があまり感じられない。

 

序盤でYazawaが加入した後はゲームバランスが崩壊する。Yazawaのスキル「紫電一閃」は超強力な攻撃を敵全体に行うがゲームクリアまで雑魚敵は全て片付いてしまう。そのためサブマシンガンやショットガンで全体攻撃する意味がない。それならば1体に何度も攻撃できるアサルトライフルを選ぶのが吉だ。そしてその後Jackieを仲間に加えたらさらにバランスが壊れる。Jackieは単体攻撃を必ず回避し、強力なカウンターを行うスキル「十歩一殺」と、自分に全て単体攻撃を集中させるスキル「タウント」を持つ。これを同時に発動させればボスが攻撃をするたびに、逆にボスをボコボコにするJackieの姿を見ることができる。

スキルの発動にはSPというゲージが必要だが、フィールド上で敵のシンボルに向かって発砲すれば50%SPを持った状態でバトルに移行できる。ボス戦では開始時のSPは0であるが、戦闘開始時のSPを増やすことのできる装備品もあるので雑魚敵はYazawaボス戦はJackieに任せればまず負けることはないだろう。

 

しかしシステム面に気になる部分はありつつも、前述した作品の魅力がそれを上回っていた。短編ということもあり不満が表層化する前にクリアできたのも良かったのだろう。私の好みにピッタシハマったゲームだった。